2008年10月18日土曜日

虹色のトロツキー

安彦良和の「虹色のトロツキー」を大人買いして読みました。
最後までスタンスが変わらなくて良かった…

それほど氏の作品を読めてませんが、「安東」、「韃靼タイフーン」は僕的にハズレ。
「安東」はかの源義経に密かに匿われた遺児があり、伊勢三郎や武蔵坊弁慶と共に沿海州にまで落ち延びたあと出羽の安東氏に庇護されながら北条氏率いる鎌倉幕府に戦いを挑むというストーリー。
「韃靼タイフーン」は、ロシア革命に斃れたニコライ2世の娘で生存説がくすぶり続けた皇女と同じ名前を持つアナスタシアという少女が、現代ロシアの核ミサイルの発射ボタンと共に日本の函館へと亡命、天皇家よりも古い家系を誇りながらも裏側から日本の歴史を支え続けたという一族が少女を守りつつロシアのマッドサイエンティストと、事なかれ主義を押し通す日本政府と対決するというストーリー。
どちらも悲劇のヒーロー・ヒロインがもし生きていたら…という願望(妄想)をきっかけに痛快な冒険譚が楽しめるかと読み進めると、後半でそれまでの緻密で重厚なストーリー展開が放棄されたかのようにギャグ調へと変質し、当初の展開とはかけ離れたオチの付け方でバッサリ切り捨てられる終わり方をします。
なまじっか精密な描写と冒頭から中盤までのストーリー展開が息も付かせぬ見せ方で展開していくために、この変調には怒りすら覚えるものです。
あくまで個人的な感想なので好きな人がいたらごめんなさい。

一方、「ジャンヌ」は英仏百年戦争での仏の英雄・ジャンヌダルクを描きながらもジャンヌ処刑後のバロワ朝フランスの内乱を舞台とするかなり変わったストーリー展開で、ジャンヌに憧れ、その軌跡をたどる少女を主人公として、読者はこの主人公と一緒にジャンヌの歩いた道を追体験していきます。
こちらは最後の最後で史実とは別の展開となり、主人公に悲劇が再現されることなく清清しいエピローグを迎えることとなります。こちらは途中で変質することなく、雰囲気が維持されたまま終わるので僕の中での評価が高いです。

「虹色のトロツキー」は、成立直後の満州国で日本人を父親に、モンゴル人を母親に持つ青年が少年時代のある事件をきっかけに失われた記憶を取り戻し、なおかつ父母の死の真相に迫ろうとする旅を軸に、関東軍を代表するキラ星のごとき将軍たちや満州・中国で暗躍する怪人たちがめまぐるしく関わっていく壮大な物語となっています。こちらも冒頭の展開から最後までテンションを維持したままストーリーが進んでいくので面白かった、という感想につながっていきます。

最後は残念な終わり方になった作品もあるものの、最初から一気に引き込まれていく魅せ方のエネルギーはどれも凄まじく、安彦良和という人はアニメーターだけでなく、漫画家としてもまず間違いなく超一級のエンターテイナーであると僕は思います。

あと、男女問わずこの人の描く太ももはエロいと思います。

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