2007年7月7日土曜日

殿様の生活(2)

やっと身支度が整い、ここまででざっと半時、一時間ほどかかったようです。
次に医師の診察が毎朝あり、別の屋敷に住む隠居した
前藩主(ほとんどの場合父親ですね)夫妻への挨拶に徒歩で赴き、先祖代々の位牌への拝礼。
この挨拶と拝礼は政務を覧た後にすることもしばしばあったようです。
ここまで済んで、やっと朝食です。
その内容は現代の感覚からすると、かなり質素です。

「朝は焼き味噌に豆腐ぐらい、昼と夜が一汁二菜」

松屋の定食でももっといいもの食えますね。
しかも、この質素な食事が離れた台所で作られ、毒見を経てから運ばれるので
殿様の前に膳が据えられる頃には冷め切っていた、というから悲惨です。
給仕の介添えに小姓が2名、1名は次の間におひつとともに控えていて、
もう1名がすぐそばで近侍しています。お代わりを所望のときはそばの小姓が
お盆で茶碗を受け次の間へ退出、次の間で盛り付けられた後また運ばれてくる・・・。
隣に置いておいてくれよ!と叫びたくならないんでしょうか。しかしここでも殿様は忍耐を強いられます。食事の際の心得として
1.いつも同じ量を食べること。
2.好き嫌いを言わないこと。
おかずに文句をつけたり食べ残したりするとここでも担当の役方の責任問題に発展するのです。
と、これほど厳格に殿様の前に運ばれてくる料理、異物の混入などあるはずもないのですが、
1度だけねずみの糞が混じっていたことがあったそうです。
この時はさすがに騒ぐと誰かが切腹しないと収まらなくなるだろう、と思ったやさしい殿様は
そばの小姓に見つからないようそっと捨てたそうです。

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